2023年夏アニメにおいて放映前の無に等しい状態からまさかの覇権アニメへと成り上がったダークホース、「BanG Dream! It’s MyGO!!!!!」。あまりに陰鬱すぎた初回から第9話までを踏まえて本作品を紛う事なき神作品へと導いた第10話について、バンドメンバーそれぞれの涙の意味について考察する。なお、ギター兼野良猫こと要楽奈は当然涙を流していないため、考察対象から除外する。
①Dr.椎名立希の涙
彼女の涙に映るのは自らに生きる希望を与えてくれたVo.燈への感謝と、燈と共ににいられる場所,自分が存在していてもいい場所が再び生まれたことへの歓喜であろう。第3話や第9話の描写から察するに、彼女はこれまでの人生、常に優秀な姉と比較されてきたのだろう。だからこそ、自分だって生きてもいいんだと勇気づけてくれた燈の歌詞と、椎名立希として必要としてくれたCRYCHIC,その記憶をそよ同様大切にしていたのだ。一見、解散したCRYCHICに未練は無いような素振りであったが、MyGOの活動に在りし日の思い出を重ねてしまっていたのもまた事実であった(第11話参照)。またも壊れかけた大切な居場所の再起に、彼女は涙を流したのだ。
②Gt.千早愛音の涙
彼女の涙に映るのは過去との決別と、新たな人生への活路であろう。ミーハーである彼女は、失敗の度に何かと理由をつけて現実から目を背けてきた。イギリス留学から逃げ、やっとの思いで始められたバンドも、結成したことに満足していた。今度こそ逃げまいと、ライブに向かって練習をし本番を終えるも、自分は必要とされていなかった事実を知ってバンドから離れてしまう。しかし、彼女の指には日に日に絆創膏が増えていったのだ。「愛音ちゃんは迷子。迷子でも進めばいい。」燈の言葉を受け愛音の中の何かが変わっていたのだろう。自分をいらないと言ったそよからも目を背けず、仲間と共に再びステージに立った。今度は逃げなかった。その事実を自覚したとき、彼女は涙を流したのだ。
③Vo.高松燈の涙
彼女の涙に映るのは2度のバンド崩壊を乗り越えてまたバンドができた感動と、自らの思いを詩として大切な人に伝えられた感銘であろう。人とずれて生きてきた。言いたいこと,言うべきことをあと一歩言えずに生きてきた。彼女は、CRYCHICの解散、MyGOの結成を持っていしてもまだ人間になれなかった。再び壊れていくバンドを前に、彼女は泣き崩れることしかできなかった。ただ、あの時と違ったのは、迷いながらも進み続ける愛音の存在であった。暗闇の中でも彼女は一人ステージで詩(うた)い続けた。自分の言葉を唯一伝えられるのが詩だった。気がつけば一人、又一人とステージに共に立つ者は増えていった。そして、そよがベースを担いだことで、彼女の詩は詩(うた)となったのだ。もう離さない,離したくない,君といることがうれしいから。自らの気持ちが五人全員に伝わったとき、彼女は涙を流したのだ。
④Ba.長崎そよの涙
彼女の涙に映るのは不安、悲痛、混乱、それでいてあたたかい、喜怒哀楽そのものであろう。母子家庭で育ち、常に孤独だった彼女は寂しさを埋めようと、皆にとっていい人あり続けた。友人に恵まれ、母にも頼られるようになったものの、胸の穴が塞がることはなかった。そんなそよにとってCRYCHICは何物にも代えがたい、生きる希望とも言える存在であったのだ。CRYCHICをなんとしてでも取り戻したかった彼女は、バンド仲間でさえも利用した。すべてが壊れ、もう何もかも失ったはずだった。にもかかわらず、燈は手を離さず、立希と楽奈が受け入れ、愛音が手を差し出してくれた。振り払うことだってできたはずだが、仲間の顔を見ると自然とベースを握りしめていた。CRYCHICをあきらめたわけじゃない。祥子のことだってわすれちゃいない。それでも彼女は新たな仲間と一歩を踏み出した。CRYCHICはなくなったはずなのに,すべて失ったはずなのに、自らの胸が満たされていることに気づいてしまったとき、彼女は涙を流したのだ。
⑤結論
バンドリ知らんとか興味ないとかいいから、だまってアニメだけ見ろ。(配信:ABEMA TV, Anazon Prime,Dアニメストア 等)
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