人と会って、家に帰る。ここからが本番である。
玄関のドアを閉めた瞬間、部屋の照明と共に、脳内で会議室の照明が点く。議題は「本日の言動について」。議長は主、書記も主、糾弾するのは主、糾弾されるのも主。『あの一言は余計だった』、『あの冗談は滑った』、『あの発言で傷つけてしまったかも、』。出席者全員が主なので、会議はいつもドラクエ発売日ぐらい盛り上がる。
世間ではこれを「一人反省会」と呼ぶ。根暗の特権だ。
キャラ変更アップデート履歴
主のキャラには何度かバージョンアップデートにて修正が加わっている。以下はその履歴。
ver.1.1.0(初期実装)
真面目、優等生、学級委員、卒業式答辞、教師からの信頼が厚い。
仲の良い友人の前でだけ、ややうるさくなる隠し仕様あり。
ver.2.1.0(不登校を機に大型アップデート)
軽口・冗談・道化機能を実装。
誰の前でもテキトーなことしか言えなくなる。
相手の気持ち、周囲の空気を自動でシャットアウト。
シリアス機能は非推奨となり、徐々にサポート終了へ。
ver.2.2.0(浪人〜現在)
道化が正式仕様に。
ユーザー(周囲)からも運営(主)からも「そういうキャラ」として承認され、以降、仕様変更の予定なし。
議事録
で、冒頭の反省会である。
毎回開催されるわりに、改善案が実行されたためしがない。会議としては最悪の部類である。
誰でもなれること精神科医によると、
「躁的反応かもしれません。あと、前頭葉の機能低下の可能性もあります。」だそうだ。
まぁ要するに、ネガティブな感情を無意識に抑え込むため、過剰に明るく振る舞ったり、活動的になっちゃったりするよ~。おまけに、判断力や抑制力、理性といったブレーキが効きづらいよ~。みたいなノリだ。
なるほど。議事録に追記しておく。
誤解
誤解しないでほしいのだが、主は「本当の自分をわかってほしい」わけではない。
『その人の前でどう振る舞ったか』
それがその人にとってのすべてである。表に出していない自分を察してくれというのは、ただの甘えだ。
問題はもう少し手前にある。
昔の主には、周りに気を配る余裕があった。人に優しくする余裕があった。
今はそれがない。道化をやるだけで容量が一杯で、気配りの機能が表示されなくなっている。
すると、どうなるか。「そういう面しかない奴」だと思われる。表示されている面がすべてなのだから、当然そうなる。理屈はわかっている。わかった上で、内面まで込みで誤解されるのは、なかなかに応えるものがある。
「本来の自分」を探してほしいのではない。
ただ、かつて存在した機能を、今実装できていないのが悔しいのだ。
本音
それでも、主は人と喋るのが好きだ。誰かといるのが好きだ。一人でいても楽しくない。
そして、今の主だから成立している関係がある。
最新版だからこそ今の友人関係があるし、今の立ち位置がある。
ver.1.1.0のままだったらきっと見えてない景色を今見ている。そんな気がする。
だから今の自分も、嫌いじゃない。
自分探し
結果報告。
本当の自分はなんていない。けれど、偽の自分もいない。
めくるめく変化までふくめて全部、自分である。
なお、この記事についても、投稿後に反省会を開催する予定である。

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